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部会長挨拶(2025年度~2026年度)

有機結晶部会は、有機分子の集合体である「有機結晶」を中核的なキーワードに据え、その構造・機能・物質変換など様々な角度から研究する研究者の集まりです。日本化学会の5番目の部会として1997年に発足して以来30年近く、学際的かつ先進的な活動を展開してまいりました。有機分子が秩序をもって配列した固体集合体としての「結晶」は、その性質や機能が分子の配列と密接に関連しており、単結晶X線構造解析や最新の電子回折構造解析をはじめとする構造解析技術を通して、ミクロな分子の三次元構造とマクロな物性との因果関係を直接探ることが可能です。こうした特性により、有機結晶は物質科学、材料科学、さらには生命科学などの広範な分野にわたって重要な研究対象となっています。

部会の活動は、春と秋を中心に展開されています。春季には、日本化学会年会において「有機結晶・超分子化学部門」を設け、有機結晶のみならず、構造有機、液晶、非晶質、超分子集合体を含む広義の集合体化学に関する研究発表と活発な討論が行われています。多様な分子集合体を対象とすることで、学際的な視点からの議論と新たな研究の融合が促進されています。一方、秋には、1997年の部会設立当初から継続して開催されている「有機結晶シンポジウム」が開催されます。このシンポジウムは、全参加者が一堂に会し、口頭およびポスター形式の研究発表を通じて密度の高い議論を行うことを特徴としています。とりわけ、ポスター発表に先立つショートプレゼンテーションは、発表者全員が自身の研究内容を簡潔に紹介し、効果的な研究導入の機会として定着しています。

2015年からは、シンポジウムに先立ってプレシンポジウムも開催されており、有機結晶研究を新たに始める学生や若手研究者に向けて、チュートリアル講演が実施されています。専門外の参加者にも理解しやすい内容として構成されており、好評を博しています。また、プレシンポジウムに併設される交流会は、世代や分野を越えた研究者同士の人的ネットワーク構築にも寄与しています。さらに、部会では年3回、電子版のニュースレターを発行しており、論文紹介、ショートレビュー、研究室便り、学会報告などを通じて、会員間での情報共有と学術的刺激を促進しています。特に電子版化以降は、カラフルな図表を使った魅力的なコンテンツが満載されており、読み応えのあるものとなっておりますので、ぜひ奮って投稿いただければと思います。

有機結晶部会は、構造・合成・物性・機能・計測・理論といった多様な切り口を統合し、分子集合体化学の深化と発展に寄与することを目的としています。本分野に関心をお持ちの研究者、技術者、学生の皆様におかれましては、ぜひ本部会にご入会いただき、研究交流や情報発信の場として積極的にご活用いただければ幸いです。有機結晶という多彩な分子集合の世界にご関心をお持ちの皆様のご参加を、心よりお待ち申し上げております。

2025~2026年度部会長
藤内 謙光(阪大院工)

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